拭き漆の細箸と、鉄の箸置き。
味わうことを、もっと深く。
野菜や魚、日本の食事とよく合います。
ふろふき大根を切り分けて、
焼き魚の身をほぐし、
茶碗にのこったひと粒をつまむ。
細くて繊細な箸を使うと、食べることの所作が、
より自由に、自在になります。
樺(かば)の木からつくった特殊な板で、細くて丈夫な箸をつくりました。
箸先はすっと細く、箸を使う仕草がとても美しく見えます。
表面の「拭き漆」仕上げは、岩手県の安比塗漆器工房に特注しました。
木地に漆を刷り込み、余分な漆を拭き取る作業を繰り返して仕上げる「拭き漆」。
ツヤのないマットな質感は、口に含むと滑るような感触です。
箸の材料でもある樺の加工板は、紫檀や黒檀よりも、強い強度と耐久性をもっています。
細いのに丈夫な理由は、その板材の製法にあります。
樺の木を薄くカットした板に樹脂を含浸して重ね合わせ、高温高圧で圧縮することで、
通常の木材の2~3倍の強度を持つ加工板ができます。
折れにくく曲がりにくい素材のため、長く使い続けても、歪みが出にくいのが特徴です。
もうひとつ、細箸とは対照的に、
箸を置きやすい、おおらかな箸置きをつくりました。
大きく薄く、鉄製で適度な重みもあるため、
食事中、箸を置く際に、箸置きがずれたり動いたりすることもありません。
使ってみると「箸を置く」という動作が、驚くほどラクに感じます。
箸置きを変えるだけで、自然と箸を休める頻度も増えるのです。
大きな箸置きにスッと箸がおさまるのは、使ってみてわかる気持ちよさ。
箸のまわりの空間が広いことで、食卓が凛とした雰囲気になります。
大きめなのでカトラリーレストやペーパーウェイトとしても使えます。
箸置きの素材は鉄。奈良県の垣本鉄工所に特注し、表面の加工はすべて手作業で仕上げられています。
鉄の表面は米糠蝋でコーティングしています。使い続けて鉄の経年変化もお楽しみください。