2019年2月9日
メリノウールとの出会い
すますのこと
すます01「メリノウール100%の、ゴムで締め付けない衣服」のできるまでの話をもう少し。
2016年の12月、退職を前に妹・ミオは、短い旅をしました。行き先はニュージーランド。
東京は冬の最中。ニュージーランドは初夏。1週間の旅行です。
どちらかといえば、それまであまり旅好きではなかった妹ですが、
ニュージーランドだけは、「いつか行ってみたい」といつも口にしていました。
旅で妹が感じたことは、それぞれの人が自分のリズムで、機嫌よく暮らしていることの素敵さでした。
ニュージーランドの人はみんなフレンドリー。
街中やスーパーマーケットを、裸足で気持ち良さそうにぺたぺた歩いていたそうです。
自然豊かなコテージで過ごし、ドライブしながら美しい山並みやのどかな羊の群れを見て、
すっかりニュージーランド大好きになった妹は、
「帰ったらニュージーランドとつながる仕事がしたい!」と考えました。
帰国後、考えるヒントを得るため、ニュージーランドの産業や特産物を調べたり、
自分の持ち物の中で「ニュージーランド産」の製品がないかどうか、探してみたりしました。
すると、以前からハイキングや登山の際に愛用していた、長袖やレギンス、靴下などが、
ニュージーランド産のメリノウール100%の製品だったことに気づいたのです。
(ちなみに、ニュージーランドの特産品はウール製品のほかに、翡翠や蜂蜜、乳製品などがあるそうです)
ニュージーランド産のメリノウールはとても質が良く、最近では、ハイブランドのニットから、
アウトドア系の高機能インナーなどにも使われています。
ニオイがつきにくく、天然の抗菌性と防汚性、通気性と保温性をあわせもつメリノウールは、
お風呂に入れず、汗やムレ、身体の冷えとも闘わなければならない登山用品には最適な素材なのです。
妹はそんな高機能の素材が、アウトドア系の用途でしか使われていないことに注目しました。
アウトドア系のブランドから発売されている、メリノウールのブラやショーツも試してみましたが、
登山やスポーツをする際のハードな動きにも耐えられるよう、身体へのフィット感が追求されているせいか、
どちらかといえば、普段の下着のときよりも、着用時の締め付けがキツめということがわかりました。
デザインも、スポーティなブラトップやショーツがほとんどでした。
「最高の素材で高機能なのはそのままに、シックなデザインのインナーが欲しい」とイメージがふくらみ、
「いいものこそ、日常使いにしたい」「女性向けのインナーにならないか」と考えたのです。
ひとつ心配だったのは、繊細な女性の日常使いに耐えうる肌触りかどうか。
そして洗ったときに縮まないかどうかです。
ニュージーランドのメリノウールについてもっと知りたいと思った妹は、
ニュージーランドメリノウールカンパニーの日本支社に連絡をとり、教えを請いました。
「メリノウールで女性用の下着をつくりたいんです」
ニュージーランド産のメリノウールの特徴や機能を学びながら、触らせていただいたメリノウールの原毛。
その柔らかさ、肌触りの気持ちよさに、「ウールってこんなに気持ちよかったんだ」
「これならインナーができる」と確信。
心配だった縮みも、生地メーカーの技術によって、ほぼ問題ないレベルで解決できそうでした。
これが高機能の素材を活かした「メリノウール100%の、ゴムで締め付けない衣服」のはじまりです。